バーチャル空間の行き着く先は、資本主義的な価値観に覆われた第二のリアルの実現より、徳のある人が集う仮面舞踏会がいいと感じた

活動報告

1. 前置き

Vtuber活動を行っている中で、よく利用させていただいているメタバースプラットホーム「Cluster」にて、8/29に大きな発表がおこなわれていました。Youtubeでアーカイブを閲覧していたところ、「バーチャル空間」について、ぼんやりと頭が回り始めたので、忘れないうちに書き留めてみました。

文献の調査に基づいたものではなく、思考も練りきれてない点があるので、時が経てば考え方が変わる箇所もあると思います。
二元論的に人と議論したいというよりは、自身への後々の振り返りに向けた思考のセーブポイント的、備忘記事な位置づけを想定しています。

2. バーチャル空間のあるべき未来は第二のリアルの実現なのだろうか?

2-1. バーチャル空間の強み

私はバーチャル空間の強みの1つに「リアルに疲れた人々が集える場所」という要素があると感じています。

「リアルに疲れた」というのは「資本主義的な世の中の空気に疲れた」と言い換えられるような意味合いで捉えています。

「資本主義的な世の中の空気」というのは、
・学校や社会での競争や成長に対する圧力
・テレビや広告など、意図して人に向ける感情への揺さぶり
・インターネットの進展に伴って、優劣など他者と容易に比較にさらされる環境
などのような意味合いで捉えています。

バーチャル空間では、上記のようないわゆる競争や感情の揺さぶり、格差の可視化的な要素はリアルと比較して相対的にあまり意識することなく人々が接することのできる場と感じています。

2-2. Clusterの発表をみて、ふと感じたこと

Clusterでの発表をみていて思索にふけったところ、資本主義的なリアル社会で行われていることのバーチャル下での実現を加速させていくことがClusterにとっての方向性の一要素なのかなと感じました。

思い返してみると、以前も以下のような出来事がありました。
・特定の条件を満たした者のみ付与が可能な希少な「称号」を設けることで、そのバーチャル空間内で「優れている点を有するか」といった人同士の間での差を可視化する称号システム
・旧フレンド数表示から、SNSと同様にフォロー・フォロワー数を数値的に可視化することで、その人物は多数のフォロワー数を持つ人気者か否かを人目で判断できる機能追加
・(多分、8/30時点では廃止されていると思いますが)、イベントランキングの実装による、人気があるイベントと、そうでないイベントとの間の差の拡大の試み

そして今回、バーチャル空間内での人同士の金銭の介在領域を増やす試みが発表されていました。
もちろん、クリエイターなど表現者に対して、その活動に関わる金銭的な循環が行われる空間は望ましい面もあると感じます。
ただ、金銭の介在領域を増やすことは、資本主義的な冷たさも少なからず加わるような気もします。
「金銭の絡みがなかった学生時代の友人関係」と「給与や役職なども絡んだ社会人同士でできた人間関係」は、後者の場合、前者と比べると時にドライさの見える場面があるとも感じるものに近い気がします。

営利企業である以上、Clusterは方向性としてそうならざるを得ない面もあると思いますし、否定するつもりがあっての意図ではありません。
ただ、Clusterが進む先は「第二のリアルの実現」として、資本主義的な要素としての人同士の差の可視化や金銭取引を通じた希薄な信頼関係へと進むのであれば、バーチャル空間への「リアルに疲れた人々が集える場所」という要素は薄れる方向性なのかなと感じます。

3. バーチャル空間での徳のある人が集う仮面舞踏会

3-1. 徳のある人が集う仮面舞踏会って何?

私がバーチャルで活動する要素の1つとして「徳のある人を目指したいから」という点があると感じています。

私は人の力になりたいと思っており、その手段としてVtuber活動を始めました。活動はせずとも、おそらく誰しも、大なり小なり人の力になりたいという気持ちは抱いていると思います。

徳のある人は自然と人が周りに集まり、互いが協調しあうような空間が生まれると捉えています。私はそのような人々が集まる空間の一員でありたいと考えています。

仮面舞踏会というのは、その人の集まりが「人気・有名だから」といった元々の個人の背景・属性に基づいた集いではない空間を想像して表現しています。

組み合わせると、なにか自分の能力の誇示や人気度合いに基づくものではない人同士が集い、自然とその輪の人々が協調し合うような空間とその中の一員、というのが目指しているところとなります。

3-2. バーチャル空間である意味

バーチャルはリアルと比較して、肩書きや人気など、人に属する要素を排した状態で人と接すること実現しやすいという「仮面舞踏会」的な条件が整いやすい利点があると感じています。

そして、そのような場での交流は他者に対する先入観の減少に繋がり、違った気づき・発見に出会える貴重な場と感じています。

以上をまとめると、バーチャル空間はこの「お互いの好きなことや得意なことを持ち寄り、競争や比較に繋がる属性を排して協調し合い、気付きや発展につなげる」という面に可能性があるのではと考えています。

「時の行き交い」という活動の趣旨はこれに近いところがある気がしました。

3-3. (余談)

Vtuber活動をしていて、フォロワー数やチャンネル登録者数を増やすこと自体は、活動の趣旨とあまりマッチしないため、何をどう伸ばしていくことを発展の方針とするか、頭を悩ませている要素になります。明確な答えが見えている訳ではないので、深める必要があると感じています。

また、金銭に関わることについては、リアル(非バーチャル空間)側に誘導することで実現できるのが望ましいかなと感じています。
バーチャル空間内にリアル的な要素の持ち込みを増やしていくと、バーチャルの強みな「金銭の介在しない人間関係」がリアルと同様に、利害関係者同士的なドライみのある関係性が増しそうに感じます。

ただ、私も「活動」と「金銭」を上手く結び付けられてないので、「論語と算盤」的な領域に対する理解は深めていく必要がある点を感じています。

4. まとめ

Clusterの発表を聞いて、金銭的介在の余地の増加など、バーチャル空間のリアル化を進めていくのは、
「バーチャル空間自体の疲れる場所化」が進む用に感じるという感想を抱きました。

そして私はバーチャル空間に対して、「リアルに疲れた人が集える場所」や「徳のある人が集う仮面舞踏会とその一員になれる場」を求めているように感じました。

メタバースプラットフォームは1つではないので、活動先としてClusterの1箇所に依存せず、色々知ってみるのもいいのかなと感じました。

金銭と活動の結びつけに対する理解や、「人に属する要素を排すること」と「力になれる領域や度合いの開示」間のバランスといった点は理解を深めていく必要があると思いました。

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